ソフトウェアとしてのゲームの進化と保守

2009年10月13日以前に「GRADIUS ReBirth」を受信されたお客様へ

2008年9月2日(火)に配信いたしました、Wiiウェアソフト「GRADIUS ReBirth」につきまして、ゲーム内容の一部を変更した更新版を2009年10月13日に配信いたしました。
つきましては、2009年10月13日以前に当ソフトを受信されたお客さまには更新版「GRADIUS ReBirth」を再受信いただきますようお願いいたします。

【修正内容項目】
・BGMの追加
・スコア調整
・上記スコア調整による、新ランキングボードの設置
・画面演出の強化
・プレイ周回の画面表示
・ステージセレクトの調整(4〜30周の選択が可能)

GRADIUS ReBirth

なお、更新版「GRADIUS ReBirth」の再受信は無償とのこと。


GRADIUS ReBirthは、プレイしたことないけれど、これを読んでいくつか疑問が出てきた。

  • (1) ゲームユーザは、購入したゲームに対して、その後の更新を要求/期待するか?
  • (2) ゲームメーカーは、ユーザ要求/期待に対応する動機があるか?
  • (3) 一度発売したゲームを継続的に更新していくことが今後の傾向になるのか?

ゲームではない分野であれば、このような条件は多くの場合満たされる。普段利用しているアプリケーソン(たとえばWebブラウザ)やIT系のソフトウェアは、ユーザの要求に対応している。

ゲームの分野でも、もちろん、MMORPGなどは、条件を満たす。また、パッケージゲームであっても、ネットワークを介して、更新(アップデート)が行われる。たとえば、PS3の『白騎士物語』では、2008年12月25日に発売後も、2009年1月29日にバージョン1.03へのアップデートが行われ、現在、8月25日のアップデート「2nd. WAVE」が配信されている。


まずは、上記の個々の条件の検討をゲームを対象に行う必要がある。しかし、もし、このような条件が多くのジャンルや個々のゲームで満たされるなら、以下が課題になる。

  • ゲームメーカーは、出来る限り、低コストかつ素早くゲームを更新できる必要がある。

つまり、多くの場合、ユーザ要求に対応して、ソフトウェアとしてのゲームを更新(変更)するのは容易でないと考えられる。


ソフトウェア工学においては、ユーザ要求の変化、ソフトウェアを取り巻く環境の変化、あるいは、開発者の知識・経験の変化に対応することにより、ソフトウェアが変化していく過程の現象をソフトウェアの進化と呼ぶ。ソフトウェア進化の過程において、ソフトウェアの構造、つまりアーキテクチャやプログラムは、徐々に老化*1や劣化*2していくことが知られている。その結果として、変化に対応するのが困難になっていく。

今後のエントリでは、このソフトウェア進化の観点、つまり、ソフトウェアとしてゲームを捉えた場合の進化について考えていきたい。

従来の「ゲームの進化」というと、グラフィックが向上したとか、今までになかった斬新なシステムが導入されたとか、そういう観点の議論がされてきたと思う。ゲームのあるジャンルを対象に、そのジャンル内でどんなゲームが生まれ、淘汰されていったのかみたいな議論。

今後のエントリでは、そういう観点ではなく、ソフトウェアとしてのゲームの進化と保守を考えていきたい。

続き

続きはこちら

リンク

その他のコラムと連載の目次はこちら

*1:Software Aging, pdf

*2:Design Erosion: Problems & Causes, pdf