ゲームシステムデザインのモデリング:「FF13」のオプティマシステム その2

ゲームシステムのデザインのモデリングをやってみよう企画の第四回目。

前回の続きとして、今回も、FF13オプティマシステムを対象にモデリングしてみる。

モデリングの結果から得られるモデルの特徴は次のようなものである。

  • このモデルは、ゲームシステム上の仕様を細かな決定要素からなる構造に分解して表現する。決定要素とは、たとえば「アビリティがある」「カウンター(というアビリティ)がある」「カウンターは5%の確率で発生する」といったもの。
  • このモデルは、個々の決定要素をプレイヤーの不満の観点から検討・評価・再決定するために利用できる。たとえばプレイヤーは「カウンターの発生率が低すぎて役に立たない」というような不満を持つかもしれない。これは「カウンターは5%の確率で発生する」という決定に対する不満である。したがって、この決定を変更する必要があるかもしれない。

オプティマシステムの概要

以下は、オプティマシステムがどのようなものなのか知っている方は読み飛ばしてもらってもかまわない。

今週のファミ通情報によると、FF13のバトルの中心的な位置づけとなるオプティマシステムというのは、各キャラクターにロールを付与して、それにより戦略等に幅を持たせるようなもの。ロールの組み合わせをオプティマと呼ぶ。たとえば、「ディフェンダー」「アタッカー」「ブラスター」というロールで構成されるオプティマは「ラッシュアサルト」と呼ばれる。バトル中に、あらかじめセットしておいたオプティマを選択することで、状況に合わせて戦略を変更できる。

で、今作では、プレイヤーが操作しているキャラクター以外のメンバーは、AIにより行動する。どういう行動をとるかは、どんなロールが割り当てられているかによって決まる。たとえば、ロールが「ヒーラー」だと基本的には回復の行動しかとらなくなる。回復が必要になったら「ヒーラー」のロールがいるようなオプティマに変更すれば、回復行動を行ってくれる。そういう意味で、オプティマを変えることは、メンバーの行動の作戦を変更するようなものだと考えられる。

イメージはこの動画がちょっと参考になるかも。

で、さらに、オプティマシステムについてファミ通情報から分かっていることを書いてみる。

  • オプティマはバトル中に何度でも変更できる
  • バトル中にL1ボタンを押すとセットしたオプティマの一覧が表示される
  • セットできるオプティマのスロット数には制限があるが、増やしたりもできる。
  • ロールには、「アタッカー」「ブラスター」「ディフェンダー」「ヒーラー」「エンハンサー」が今のところ判明しているある。未知のロールがある可能性もある。
  • ロールにより、ボーナス効果が付与される。たとえば、「アタッカー」だと自身と仲間の攻撃力を上げる効果が付く。
  • ロールごとに、使えるアビリティが決まっている。
  • ロールにはレベルがある
  • ロールのレベルが上がる過程で、新しいアビリティを覚える
  • キャラクターごとによって覚えられるアビリティと覚えられないアビリティがある
  • キャラクターごとに得意なロールと苦手なロールがある。得意なロールには物語の最初から変更できても、苦手なロールには物語が進まないと変更できない。

モデリング

前回は、次のモデルまでを作成した。

前回モデリングできなかったものは次のもの。

  • ロールには、「アタッカー」「ブラスター」「ディフェンダー」「ヒーラー」「エンハンサー」が今のところ判明しているある。未知のロールがある可能性もある。
  • ロールにより、ボーナス効果が付与される。たとえば、「アタッカー」だと自身と仲間の攻撃力を上げる効果が付く。
  • ロールごとに、使えるアビリティが決まっている。
  • ロールにはレベルがある
  • ロールのレベルが上がる過程で、新しいアビリティを覚える
  • キャラクターごとによって覚えられるアビリティと覚えられないアビリティがある
  • キャラクターごとに得意なロールと苦手なロールがある。得意なロールには物語の最初から変更できても、苦手なロールには物語が進まないと変更できない。

では、順番にモデリングしていこう。

まずはロールの種類から。とりあえずは今のところ5つのロールが存在することが分かっているので。それぞれを追加しよう。

ここで一つ考察できるのは、ゲームシステムの仕様orデザインにおいては、何かの種類に関する決定が存在するということだ。そして発生するかもしれないプレイヤーの不満としては、たとえば、種類の少なさなどがある。たとえば、ドラクエ9では「職業の種類が少ない」という不満があるFF13でも、同じように「ロールの種類が少ない」という不満が出るかもしれない。

そういう意味では、上記のモデルは適切でないかもしれない。というのも、ロール数に関する決定は、暗黙的間接的に読み取らなければならないためである。つまり、以下のように「ロール数は?つである」としたほうがいいかもしれない。

続いて「ロールごとにボーナス効果が付与される」というのを追加してみる。また例としてアタッカーのロールのボーナス効果を追加してみる。

ボーナス効果の仕様については、ファミ通から読み取っただけなので、詳細なことはこれ以上分からない。たとえば

  • ボーナス効果は固定なのか。まだモデリングしていないけれど、ロールにはレベルがあるらしいので、レベルに応じてボーナス効果は変動するのかどうか。

ということは分からない。

さて、この例から一つ考察できるのは、50%などの数値に関する決定が存在するということである。プレイヤーは数値の適切さに関して不満を持つかもしれない。

ここまで書いてきて、一つ読み取り忘れたものがあることに気づいた。「ボーナス効果を表示する」という決定である。これには気づかなかった。一応追加してみよう。

可能性としてはボーナス効果はあるとしつつも、プレイヤーには具体的な効果を表示しないという決定もありえたはずだ。

続いて、ロールとオプティマの具体的な関係を追加してなかったのでそれを一応追加してみよう。「ディフェンダー」「アタッカー」「ブラスター」というロールで構成されるオプティマは「ラッシュアサルト」と呼ばれる。これを一例として追加してみよう。

続いて「ロールごとに使えるアビリティがある」を追加してみよう。この決定を行うには「アビリティがある」という決定が必要である。

そろそろ図が大きくなった来たので関連するものだけ表示している。具体的なアビリティの仕様とロールとの対応関係はわからないので仮に「アビリティXXX」というのが存在するものとして表している。

次に、「ロールにはレベルがある」というのを追加する。また、「レベルがあがるとアビリティを覚える」とのことなのでそれも追加した。

ここまでのモデリングで、またまた長くなってしまったので、今回はこのぐらいで終わりとしたい。ここまでの全体図は次のようになる。

まとめと次回

さて、今回のモデリングに関する考察には次のようなものがある。

  • 何かの種類に関する決定が存在する。
    • 種類の数を決定要素として明示的にモデル化すると良い。
  • 何かの値に関する決定が存在する。
  • どんな種類の決定かで起こりうるプレイヤーの不満を予測できる。
  • モデルの表現方法を工夫する必要がある。表現する要素が多くなると分かりにくくなる。


次回は、残りの二つをモデリングして、オプティマシステムのモデリングを終える予定である。

  • キャラクターごとによって覚えられるアビリティと覚えられないアビリティがある
  • キャラクターごとに得意なロールと苦手なロールがある。得意なロールには物語の最初から変更できても、苦手なロールには物語が進まないと変更できない。

追記

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