ゲームシステムデザインのモデリング:「真・女神転生 STRANGE JOURNEY」のデビルCO-OP

前回に引き続き、ゲームのシステムのモデリングを行ってみたい。前回の内容を読んでない方は、ざーっとそのエントリの図を見てもらうと、どういうことをしようとしてるのかなんとなくイメージしてもらえると思う。

今回のモデリング対象は、前回と同じく『真・女神転生 STRANGE JOURNEY』で、今作で導入された新しい戦闘システムの要素。

真・女神転生 STRANGE JOURNEY(ストレンジ・ジャーニー)

真・女神転生 STRANGE JOURNEY(ストレンジ・ジャーニー)

STRANGE JOURNEYは、アトラスが出してる「真・女神転生シリーズ」の最新作のRPG。今作では、戦闘での新システムとして、「デビルCO-OP」というのが導入されるらしい(今週のファミ通情報)。この「デビルCO-OP」をモデリングしてみましょう、というのが今回のエントリの内容。

ファミ通情報によると、「デビルCO-OP」というのは簡単にいってしまうと、敵(悪魔)の弱点をつく攻撃をすると、味方がそれに続いて連続攻撃を行える、というシステム。もう少し具体的に説明すると、たとえば、敵が雷に弱いとして、雷属性の魔法(ジオ系魔法)で攻撃すると、弱点を攻撃したことになる。とすると、その後、他の味方が連続攻撃を仕掛けてくれる。でも、これには一つ条件があって、攻撃した味方と同じ「スタンス」を持つものしか連続攻撃が行えないというもの。「スタンス」というのは、各キャラクター(主人公と悪魔)が備える性格のようなもので3つの種類がある。「ロウ」と「ニュートラル」と「カオス」の3つ。条件次第では、同ターンで最大の4連続攻撃が可能らしい。

具体的なモデリングの前に、この文章を少しだけ分解してまとめておこう。

  • 悪魔の弱点をつく攻撃を行った際にその攻撃を行った味方と同じスタンスである味方が連続で攻撃する
  • スタンスというものがある
  • 同ターンで最大の4連続攻撃が可能

では、モデリングしていこう。簡単かと思ったら意外と難しい。悩んだ部分も含めてゆる〜く考えていきたい。

まず、「デビルCO-OP」というシステム要素は、「戦闘」という要素がなければ成立しない。

なので、上記のような図になる。「戦闘がある」という決定が行われていることで「デビルCO-OPがある」という決定が行える。たとえば、「戦闘がある」から「戦闘がない」という決定に変更してしまったら、「デビルCO-OP」というシステムは存在できないことになる。

さて、実は、ここで既に次のような悩ましい問題が発生してる(だけど、後にならないと何が問題かぴんとこないかも)。

  • 「デビルCO-OP」というシステム名称でよいのかどうか。「デビルCO-OP」というのは、さきほど文章で説明したような全ての要素を言い表すだけでないのか。

つまり、次のような図である。

この図では「デビルCO-OP」という名称を使わずに、「悪魔の弱点をつく攻撃を行った際にその攻撃を行った味方と同じスタンスである味方が連続で攻撃する」という決定であるとして「戦闘がある」決定に関係付けている。「同ターンで最大の4連続攻撃が可能」というのは、連続攻撃ができる決定を前提としているため、「悪魔の弱点をつく〜」の決定に関係付けてる。

でも、ここでも何か違和感がある。そもそもでは「戦闘がある」というのはどういう意味か。「戦闘がある」というのもさまざまな細かな具体的な要素が関係しあったうえでのあるものを表す抽象的な概念なのではないか。難しい。難しい問題である。なので、「戦闘がある」というのを許容し、これを許容するならとりあえず「デビルCO-OPがある」というのも許容することにしよう。

さらにモデリングを進めよう。

この段階では、「デビルCO-OPがある」という決定に「悪魔の弱点をつく〜」という決定が依存するように表している。多少違和感はある。というのも、「悪魔の弱点をつく〜」というのは「デビルCO-OPがある」ということを具体的に詳細に言い換えただけのように見えるためである。この違和感の発生原因は、そもそもの関係の意味である「ある決定を行うにはある決定が行われている」ということ自体が誤っている可能性がある。とはいえ解決策は思い浮かばないので課題として残しておくことにする。

次に「悪魔の弱点をつく攻撃を行った際にその攻撃を行った味方と同じスタンスである味方が連続で攻撃する」という決定がどういうことなのか少し考えてみよう。一つの見方は、この決定というのは、連続攻撃の発動条件を決定しているということである。つまり、二つの条件である。

  • 悪魔の弱点をつく攻撃が行われること
  • かつ、その攻撃を行った味方と同じスタンスである味方が存在すること

下記の図はこの分解した条件の観点から修正した図である。

二つの具体的な連続攻撃の発動条件が存在するためには、まず、「連続攻撃の発動条件がある」という決定が行われなければならないと考えられる。とすると、さらに、「連続攻撃の発動条件がある」という決定を行うには「連続攻撃が発動する」という決定が存在するということになる。

この時点でも色々もやもやとした納得できない点があるかと思う。難しいところである。一つ気になるのは、「デビルCO-OPがある」という決定と「連続攻撃が発動する」という決定の関係である。これは同じことを意味しているのではないか? 「連続攻撃が発動する」ということの名称がデビルCO-OPなのではないか、とも考えたくなる。とりあえずは気にしないでおこう。

ここまで読んでくれた方の中には、そもそもこのモデリングの目的や有益な点は何なのだろう? と思っているかもしれない。一つは、細かな要素or決定事項に分解し、表現することで見えてくることがあるのではないかという点である。たとえば、連続攻撃の発動条件はこれでよいのか? 「スタンス」を発動条件にするのは適切か? 「スタンス」中心にしてしまうと、好きな仲間(仲魔)をパーティに入れにくくなるのではないか? 他の発動条件もあるとしたらどうか? などの疑問を出しやすくなると考えられる。そのようなとき、重要なことは、この決定を変更することで他の決定にどのように影響するのか、という点である。

さらにモデリングを続けよう。ところでスタンスはどこに表現されてるんだ? と思われているかもしれない。追加してみよう。

「その攻撃を行った味方と同じスタンスである味方が存在すること」という条件に関する決定は、「スタンスがある」という決定が行われていなければ成立しない。

同様に一つ目の発動条件にも何らかの決定を前提としてることが分かるはずだ。

つまり、「弱点が存在する」という決定と、さらには弱点は独立して存在せず悪魔が備えるパラメータであるということから「悪魔が存在する」という決定が必要である。

では、スタンスも単独では存在しないんじゃないかと思われるかもしれない。悪魔には、種族があり、種族ごとに固有のスタンスが決まっているらしい。主人公もスタンスを持つ。主人公の場合は、主人公が取った行動や選択によってスタンスが変化するらしい。

これでだいたいデビルCO-OPに関する要素と関連要素は表現できたように思える。けれど、もう少し続けてみよう。種族とスタンスの関係付けである。

全ての種族が何であるのかとうのは分からないので、分かっている範囲で図では表現している。


今回のモデリングとしてはここで終わりにしたい。いくつか分かったのは、モデリングするのが難しい点があるということと、図がごちゃごちゃになってくるというのがある。

次回は、FF XIIIのオプティマシステムのモデリングをやってみたいと思う。


あとよく考えたら、デビルCO-OPの仕様ってちょっと分からないな。連続攻撃ってもしかして、ボーナスで連続攻撃になるんじゃなくて、本来なら自分の順番が遅くまわってきうたときに攻撃になるけど、デビルCO-OPが発動すると、順番すっとばして連続攻撃になるってことっぽいきがしてた。つまり、パーティが二人でAとBで、敵がEだとすると、弱点を突かない場合の攻撃順序がA->E->Bだとする。で、Aが弱点をついたときは、僕が最初思ってたのはA->B(何らかのボーナス攻撃)->E->Bだけど、もしかするとA->B->Eになるだけなのかな?