プレイシナリオによるゲーム制作について考えてみる
以前のエントリで、プレイシナリオというコンセプトについて少し触れた。
このエントリでは、プレイシナリオというコンセプトを用いて、ゲームを制作する方法について考えてみたい。
プレイシナリオというのは、「ゲームプレイにおいてあるゴールを達成するための特定のアクション(動作)の流れである」と定義している。たとえば、RPGでいうと「経験値を稼ぐ」や「お金をためる」などのシナリオがあると考えている。
プレイシナリオは、ゲーム制作におけるデザイン工程とテスト工程で用いられることを想定している。これら工程におけるプレイシナリオの役割には、以下があると考えてる。
基本的な前提としては、特定のプレイシナリオを想定することがゲームデザイナー/テスターの想像力を支援するのではないか、ということがある。
プレイシナリオによるゲーム制作の概要
下記の図を使ってもう少し詳しく説明したい。
このの図の上部と下部では、それぞれ次のことを示している。
- (上部) このエントリでのゲーム制作工程の捉え方:かなり何となくな工程の分割の仕方だけど「企画」「デザイン」「プログラミング」「テスト」の4つの工程があると考えてる。もちろん、この捉え方が不適切な部分があるかとは思う。
- (下部) このエントリの内容:このエントリが対象としてるのは、ゲーム制作工程でいうと「ゲームデザイン」のシナリオ、サウンド、グラフィックなど、ゲームの素材に関わらない部分と、「ゲームテスト」でのテストプレイの二つがある。プレイシナリオを用いて、これら工程での作業が行われること想定している。
- プレイシナリオを用いたゲームデザイン
- プレイシナリオを用いたテストプレイ
現状ではかなり曖昧な感じではあるけれど、こういう感じで考えていきたい。
プレイシナリオの特定例
次に、役立つプレイシナリオをどうやって特定するのか、ということを具体例により考えていきたい。この前のエントリで、RPGの『真・女神転生 STRANGE JOURNEY』をプレイしていて気になっていた点を指摘した。
(1) イベントスキップできない: 初見でアスラに挑んで軽くあしらわれて、二回目でちょっと準備して戦ったんだけど、選択肢が出るまでのイベントをスキップできないのが気になった。
ゲームプレイ:真・女神転生 STRANGE JOURNEY その2
この具体例は二つの要素で構成されていると考えられる。
- (1)具体的なプレイシナリオ:初見でアスラ(ボス)に挑んで軽くあしらわれて、二回目でちょっと準備して戦った
- (2)具体的なプレイシナリオで気づいたゲームの欠点:選択肢が出るまでのイベントをスキップできない
この具体的なプレイシナリオは、次のような抽象的なプレイシナリオとして表現できる。
- ボスにやれたので再度ボスに挑む:プレイヤーはボスを倒すことをゴールとしている。プレイヤーは、ボスと戦うが負けることがある。プレイヤーは、準備などをしてボスに再度戦いを挑む。
このシナリオでは、以下の欠点がデザインに存在する可能性がある。
- イベントがスキップできない:ボスとのバトルが始まるまで(or選択肢が出るまで)のイベントがスキップできない
もちろん、デザイン上の何を欠点(悪い点)とするのかは、個々のプレイヤーやデザイナーにより異なる。重要なのは、欠点かもしれないことを見逃さないことにある。
まとめると、「抽象化されたプレイシナリオ」と「そのシナリオにおいて発生するかもしれないデザイン上の欠点」を合わせて記述しておくことで、他のゲーム制作におけるデザイン工程やテスト工程で活用できるのではないかと考えている。
続き
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参考
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