ゲームプラットフォームのモデルを考えてみる その2
前回の続きとして、ゲームプラットフォームのモデリングを行いたいと思います。なお、このテーマに関しては、僕はド素人なので、不適切な部分があればどんどんつっこんでください。つっこみに合わせて、モデルを修正していきます。
さて、前回は、以下の(メタ)モデルを作成したところまで行いました。
このメタモデルでは、「ゲームプラットフォーム」というコンセプトは抽象的なモノであり、このモノは以下の二つに分類できるとしました。
- ハードウェアゲームプラットフォーム:ハードウェアを基盤としたゲームプラットフォーム。たとえば、PS3、Wii、Xbox360など
- ソフトウェアゲームプラットフォーム:ソフトウェアを基盤としたゲームプラットフォーク。たとえば、facebookやmixiなど。
現状では、かなり何となくな分類であると思います。そもそも「ゲームプラットフォームとは何か」という定義も避けているため、曖昧です。とはいえ今回も曖昧なまま進めていきます。
今回は、「ゲーム」の要素をこのメタモデルに追加したいと思います。単純に以下のように追加してみました。
- 「ゲームプラットフォーム」は、任意の数の「ゲーム」と関係を持てます。たとえば、PS3は『ベヨネッタ』と『FF13』をプレイできるプラットフォームです。
- 「ゲーム」は、一つ以上の「ゲームプラットフォーム」と関係を持つとしました。たとえば、『ベヨネッタ』は、PS3とXbox 360でプレイできるゲームタイトルです。
- 「ゲーム」は「ハードウェアゲームプラットフォーム」と「ソフトウェアゲームプラットフォーム」のどちらであっても関係を持てます。
ここまでは、あまり面白くない話でした。少し話を悩ましくしてみたいと思います。最近では、私たちの思っていたゲームというもの概念が少しぼやけだしています。ソーシャルゲームやシリアスゲームといった、単に今までは面白さや楽しさといった質を追求してきたゲームとは異なる種類のゲームが出てきています。以下では、ソーシャルゲームについて簡単に考えてみたいと思います。
ソーシャルゲームの定義については、wikipediaにはまだ無いようなので、いくつかの記事を参考にしたいと思います。
〜中略〜
「dangoプラットフォーム」開発者インタビューソーシャルゲーム参入を助けるdangoの仕組みと狙い
そしてもう1つの大きな動きが、FacebookやMySpaceといったSNSを中心としたソーシャルゲームである。ソーシャルゲームとは、ユーザーコミュニケーションを活性化させるために作られた社交性の高いゲームのことで、億単位のユーザーを抱えるSNSで展開されたことから、急激に規模を拡大した。ただ、日本では海外発のSNSが国産のものに比べて低調なこともあり、ソーシャルゲームの認知度は低く、北米など海外との温度差が著しい。
〜中略〜
――Facebookというのは、SNSにWEBのアプリケーションが集まったものというイメージですが、WEBゲーム自体は以前からあります。Facebookにゲームを乗せる利点はどこにあるのでしょうか?
赤羽氏 :決定的に違うのは、他人とのコミュニケーションを前提とした「ソーシャルゲーム」であるということです。ただ他人と遊ぶだけでなく、平均120人の友達にどんどん誘いをかけたり、一緒にゲームをやることによって、ゲーム中での自分のパワーが上がったりする仕掛けも作れます。そういった社会性の強さがあるので、一旦人気が出始めると、成長のスピードが極端に早いのです。
この記述からは以下が分かります。
- ソーシャルゲームであるかどうかは、社交性という度合いの観点から決まる。
- ソーシャルゲームは、ユーザーコミュニケーションを活性化させるために作られる。あるいは、他人とのコミュニケーションを前提として作られる。
Playfishはソーシャルゲームを提供する会社。ソーシャルゲームとは人との繋がりを主軸としたゲームで、主にSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上で楽しむものとされています。
「家庭用ゲーム機はニッチなものとなる」−ソーシャルゲーム大手の大胆予測
Segerstrale氏は「いくらソーシャルにしようとしても、家庭用ゲーム機は皆が持っている訳ではないし、現実の友達が貴方と同じ機種を持っている訳でもない」と発言。結局は自分と同じ機種を持っている人に連絡するだけだと付け加え、機種ごとの互換性がない家庭用ゲーム機は真にソーシャルなものではないとの見解を明らかにしました。
この記述からは以下が分かります。
これらの記述から分かるのは、一つは、ゲームの目的やある特性の観点から、ゲームを区別しようとしている点です。もう一つは、重要な要素として「SNS」がある点です。SNSとは、Wikipediaによると以下のようなものです。
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(英語: Social Network Service, SNS)は、社会的ネットワークをインターネット上で構築するサービスの事である。
ソーシャル・ネットワーキング・サービス - Wikipedia
SNS要素をモデリングする前に、まずは、ゲーム要素を以下の2つに分類したいと思います(シリアスゲームは今回のエントリでは対象外とします)。
- ファンゲーム:従来の面白さを主眼にしたゲーム
- ソーシャルゲーム:社交性やコミュニケーションを主眼にしたゲーム
この分類をもとに以下のようにメタモデルを修正しました。
- 『ベヨネッタ』や『FF13』はファンゲームであるとしました。
- 『マイミクテトリス』については、一応ソーシャルゲームであるとしましたが、微妙なところです。マイミク内で単にスコアを競うだけであるためです。
- 『Restaurant City』については、ソーシャルゲームであるとしました。『Restaurant City』は、以下のブログの説明によると、Facebookの友達の存在を前提としたゲームであるためです*1。
Restaurant Cityは、ユーザーがレストランを経営し、売上をあげていくというゲームです。
Restaurant City 〜ソーシャルゲームのお手本〜
簡単な経営シュミレーションゲームに「友達」という要素を足した、といった感じ。
基本的には、料理のメニューや店内のレイアウト、アルバイトの採用などを行い、
Facebookの友達を店員として雇って働いてもらいます。
店員として雇わなかった他の友達はお客としてお店に食事に来ます。
続いて、「SNS」を要素として追加したいと思います。ここまでのモデリングでは、mixiは「ソフトウェアゲームプラットフォーム」の一つであるとしてきました。一方で、mixiは「SNS」の一つでもあります。こういう見方をするならば、次のようなメタモデルになります。
しかし、次のような問題があるように思えました。
- 「ソフトウェアゲームプラットフォーム」でありつつも「SNS」であるようなものを何と呼べばいいのか。
- mixiは当初から「SNS」ではあったけれど、最近まで「ソフトウェアゲームプラットフォーム」ではなかった。
この問題点を解消するように修正したメタモデルは以下になります。
このモデルは次のように解釈できます。
- 「SNS」と「ソフトウェアゲームプラットフォーム」は互いに独立した存在である。
- 「SNS」は「ソフトウェアゲームプラットフォーム」となるような仕組みを持っていても持っていなくてもよい。mixiではこのような仕組みはmixiアプリと呼ばれており、facebookではFacebook Platformと呼ばれています*2。
- 「ソフトウェアゲームプラットフォーム」は、「SNS」に所有される必要はない。理論上はありえますが、僕は具体例を知りません。
さらに、次のような点が疑問として浮かびます。
- 「SNS」と「ハードウェアゲームプラットフォーム」との関係は何かあるのか?
- プレイステーションネットワークやXbox Liveのようなサービスはどのような位置づけになるのか?
今回のモデリングはここで中断したいと思います。今回行ったことをまとめるなら次のようになります。
- (1) ソーシャルゲームというものを従来のゲームと区別して、明示的にモデリングしました。
- (2) ソーシャルゲームというものを考えるなら、SNSというものも考慮しなければならないため、SNSをモデリングしました。
- (3) SNSとソフトウェアゲームプラットフォームを関係付けてモデリングしました。
次回は、ユーザや開発者といった対象をモデリングしてみる予定です。