経験のないゲーム理論家のつぶやき
経験のないゲーム理論家のつぶやき。
ここ数カ月、私が今まで重点を置いてきたソフトウェア開発の分野から少し手を引いて、ゲームの分野で今まで学んできたことを活用できないかと試行錯誤しています。
このゲームの分野で自分が何かできそうだと感じたからです。ゲームレビューの調査やゲームデザインの理論の執筆といった活動がそうです。
私自身は、個人で趣味でゲームを作った経験はありますが、ゲーム業界で実際に開発に携わったことはありません。そのためか、ゲーム業界で実際に働いている友人からは、評論家と呼ばれています。そんな思考的な活動ばかりせずに、プログラミングをして実際にゲームを開発しろ、と言われます。
その通りかもしれません。経験のない評論家の書いた思想など、ゲーム業界の方からみれば現実を知らないたわごとだとして評価されてもしかたないのかもしれません。
しかし、今の立場でも何かできそうな気もするのです。しかも、今、私のような活動が必要だとも思うのです。
マネジメントの分野で有名な、ピーター・ドラッカー氏は、氏の著作『マネジメント』で次のように述べています(強調は僕)。
それらの経験が私に教えたものは、第一に、マネジメントには基本とすべきもの、原則とすべきものがあるということだった。
〜中略〜
そして第三に、もう一つの、しかもきわめて重要な「しかし」があった。それは、いかに余儀なく見えてようとも、またいかに風潮になっていようとも、基本と原則に反するものは、例外なく時を経ず破綻するという事実だった。基本と原則は、状況に応じて適用すべきものではあっても、断じて破棄してはならないものである。
ところが私は、当時、成功している経験豊かな経営者さえ、それらの基本と原則を十分把握していないことに気づいた。そこで私は、数年をかけて、マネジメントの課題と責任と実践に関わる基本と原則を総合的に明らかにすることにした。
私には、氏のような実力はありませんが、ゲーム開発、特にゲームデザインの基本と原則を明らかにしたいと考えています。そして、基本と原則は、ユーザの声を注意深く聞くことで明らかにできるのではないかと考えています。
建築家のクリストファー・アレグザンダー氏は、『クリストファー・アレグザンダー―建築の新しいパラダイムを求めて』という本で次のように語っています。
多くの建築家が美の実現を目指しています。少なくともそう考えているはずです。しかし真剣に考えている人はごくわずかです。なぜならその理論化はきわめて難しいからです。私は中途半端な理論には興味がありません。それでは価値がないからです。繰り返して言いますが、私は本物を実際に作り出したいのです。
実現は不可能だと思われていたことに、何年もかけて立ち向かった人がいます。たとえばライト兄弟がそうです。彼らは、たとえどんな困難でもどうしても空を飛びたいという一心で頑張ったのです。それは私の場合も同じで、どうしても成し遂げたい。決して妥協はしたくないのです。
ここでは、「建築家」の代わりに「ゲーム開発者(クリエイター)」を、「美」の代わりに「面白さ」を置き換えて読んでもらうとよいかもしれません。
私も、対象とするモノは違えど、氏と同じような態度を取りたいと思っています。
このような活動に価値があり、と思われることを願います。
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